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小児歯科・小児矯正・咬合育成

乳歯とは、子どものときに生える歯です。生後6ヶ月くらいに最初の乳歯が生え始め、6歳~14歳の時期に乳歯が抜けて永久歯に生え変わります。乳歯は子どものときだけではなく、大人になったあとの歯の基礎を築く大切な器官です。
今回は「乳歯の虫歯」および「乳歯の虫歯の予防方法」についてお話しします。

 

乳歯が虫歯になりやすい理由

永久歯と違い乳歯は未発達のため、とても虫歯になりやすいです。乳歯が虫歯になる主な理由には以下の4つがあります。

エナメル質が永久歯の半分しかない

エナメル質は歯のいちばん外側をおおう硬い物質です。虫歯菌がだす酸によってエナメル質が溶け、穴が開くことで虫歯が発生します。乳歯は歯をおおうエナメル質が永久歯の半分しかありません。薄いため穴が開きやすく、虫歯が進行しやすいのです。

歯磨きをきちんとできていない

子どもはきちんと歯を磨けず、食べカスや歯垢が残りがちです。磨き残しが多いと食べカスや歯垢にひそむ虫歯菌が活発化し、虫歯にかかりやすくなります。保護者の方の仕上げ磨きがきちんとできていない場合も虫歯になりやすいです。

甘い物をよく食べる・ジュースを飲む

子どもは甘い物が大好きです。しかし、好きだからといって毎日甘いお菓子を食べたりジュースを飲んだりしていると虫歯にかかりやすくなります。虫歯菌は糖質をえさにして活動しています。砂糖たっぷりのお菓子やジュースは虫歯を発症する原因となるため、注意が必要です。

だらだら食べ・だらだら飲み

食事と食事のあいだにおやつや間食を食べる、いつもアメやガム(砂糖や果糖が入った物)を食べている、ちびちびと時間をかけて甘いジュースを飲む、などの習慣があると虫歯にかかりやすくなります。このような「だらだら食べ・だらだら飲み」の習慣がある子どもは歯が溶ける脱灰が常に続いている状態です。唾液による再石灰化・自浄作用が脱灰に追いつけなくなり、虫歯の発症リスクが上がります。

 

乳歯の虫歯を放置すると?

乳歯の虫歯を放置するのは危険です。「乳歯はどうせ生え変わるから」と治療を受けさせない保護者の方が時折いらっしゃいますが、大きな間違いです。乳歯の虫歯を放置すると以下のようなリスクが発生します。

ほかの歯が虫歯にかかりやすくなる

虫歯の穴の中で虫歯菌が増殖した状態が続き、ほかの歯が虫歯にかかりやすくなります。

顎が正常に発達しない

虫歯の痛みをガマンして片側の歯だけで食べ続けたり、前歯しか使わずに食事をしたりしていると左右(または前後)の顎のバランスが崩れることがあります。最初は噛む筋肉のバランスが崩れ、次に顎の骨格がゆがんできます。顎がゆがむと歯並びが乱れたり、咬み合わせが乱れたり、顔のゆがみが起こることもあります。

永久歯の歯並びが乱れる

乳歯の虫歯を放置して重症化し抜歯となったケースでは、本来生え始める時期よりも早く永久歯が生えてしまうことがあります。永久歯の生え変わりは個人差があるため、早い人もいます。しかし、抜歯や事故をきっかけとして1本~数本だけ早く永久歯が生えると永久歯全体の生え変わりに悪影響がでてしまい、歯並びが乱れることがあります。

永久歯の正常な発育を妨げる

乳歯の虫歯を放置して虫歯が歯髄にまで進むと、乳歯の下にある永久歯の歯胚に悪影響をおよぼすことがあります。変形したりへこんだりした永久歯が生えてくるケースもあります。

 

乳歯が虫歯になりやすい場所

虫歯になりやすい乳歯の箇所は、年齢によって少しずつ変わってきます。
0歳~2歳までは、すべての歯が生え揃っていません。
そのため、上の前歯が虫歯になりやすいといった特徴があります。

特に歯と歯の間、歯と歯茎の境目は要注意です。

一方で下の前歯は常に唾液と接し、汚れや細菌を洗い流しやすい構造なので、そこまで虫歯になるリスクが高くはありません。
そして3歳以降になると、乳歯がすべて生え揃うので、奥歯の溝や奥歯と奥歯の間に細菌が溜まりやすくなります。

 

乳歯の虫歯を予防する方法

乳歯の虫歯を予防するには、以下の3点が重要です。

  • 食習慣の改善(だらだら食べ・だらだら飲みをしない)
  • ブラッシング(子どもに対する保護者の方の口腔ケア)
  • 定期検診と予防処置(歯科医院で受けるプロケア)

 

だらだら食べ・だらだら飲みをしない

おやつ類(甘いお菓子やジュース)はだらだら食べたり飲んだりせず、長くても30分以内に食べ切る(飲み切る)ようにしてください。甘い物を食べたり飲んだりしたときはかならず歯を磨く習慣をつけましょう。
なお、ガムについては砂糖・果糖不使用のキシリトールガムはOKです。水分の摂取については砂糖や果糖、酸がふくまれていない無糖の飲み物(水や無糖の麦茶、緑茶、ウーロン茶など)であれば、時間をかけて飲んでも大丈夫です。

 

保護者の方がしっかりと仕上げ磨きをしてあげる(10歳ごろまで)

子どもの年齢に応じて、保護者の方が適切な仕上げ磨きをしてあげてください(子ども自身が行う毎日の歯磨きも必須です)。仕上げ磨きの仕方については歯科医院で教えてもらうようにしましょう。仕上げ磨きは10歳ごろまで行い、以降は子ども自身が正しい磨き方でブラッシングを行う時期に移行します。

 

定期検診および予防処置を受ける

虫歯を未然に防ぐため、また、虫歯が見つかった場合に早期治療を行うためには歯科医院の定期検診が必要です。検診時には虫歯やお口全体のチェックのほか、クリーニングも合わせて行います。歯磨きでは落としきれない汚れや歯石をクリーニングで除去することで、虫歯予防の効果を高めることができます。

 

 

 

乳歯の虫歯を防ぐために。保護者の方のケアと定期検診を

子どもの虫歯を防ぐには、保護者の方のケアと定期検診が大切です。さらに、これらを通じて子どもに予防意識を芽生えさせることで、大人になったあとも将来にわたって歯を残せる確率が高くなります。子どもの大切な歯を守るためにも、保護者の方が毎日の仕上げ磨きをしっかり行い、合わせて歯科医院で定期検診を受けるようにしましょう。
当院では、まず歯医者さんを好きになってもらうこと。子どもたちと信頼関係を築くことを第一に考えておりますので、子どもの歯でお悩みの場合はお気軽にお問い合わせください。