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小児歯科・小児矯正・咬合育成

生まれてから数か月たつと、赤ちゃんの歯は自然に生えてくるもの。しかし、「なかなか生えてこない」「ほかの赤ちゃんと比べて生える時期が遅い」などの問題も、時々起こります。特に初めての子育ての場合には、お母さんとしても不安に思ってしまうのではないでしょうか。
今回は、赤ちゃんの歯が生えてこない理由と生え始める時期、生えない場合の対処法について解説します。

 

 

赤ちゃんの歯(乳歯)が生え始める時期と順番

生え始めの歯はすべて乳歯です。そして、生える位置や歯の種類には順番があります。

 

  • 生後6か月から9か月まで:下の前歯
  • 生後9か月から10か月頃まで:上の前歯
  • 生後11か月から1歳になるまで:上下の歯4本
  • 1歳2か月から1歳半頃:奥歯(第一乳臼歯)
  • 1歳9か月から2歳頃まで:犬歯
  • 2歳半頃:奥歯(第二乳臼歯)

 

 

 

以上のことから、赤ちゃんの歯は一般的に生後6か月頃に、下の前歯から順番に生えてくることがわかります。
ただし、生える順番や時期には個人差があり、以上のような状態とは違うかたちで生えてくるケースも少なくありません。2歳半から3歳頃までに乳歯が生え揃っていれば、十分に歯の発育がなされていると言えるため、多少の順番や時期の違いを心配する必要はありません

 

 

歯が生え始めるサインとは?

歯の生え始めは、赤ちゃんの口のなかや機嫌から見てとれます。歯が生え始めるときには歯茎がふくらむため、赤ちゃんにとっては不快に感じられます。そのため、食欲の低下や夜泣き、突然機嫌が悪くなるなどの変化が見られることが多いです。そのようなサインが見られたら、もうすぐ歯が生える可能性が高いかもしれません。

生まれたときから生えているケースも

6か月を待たず、生まれたばかりの赤ちゃんに歯が生えていることもあります。このケースの歯は『先天性歯(魔法歯)』と呼ばれています。通常より早い時期から生えるため、「エナメル質が弱い」「グラグラしている」などの問題点があることが特徴です。
先天性歯は自然に抜けるので、経過観察をすすめられます。しかし、授乳のときに「赤ちゃんの歯が舌に当たり、怪我をする」「お母さんの乳首を傷つけてしまう」などの問題が見られる場合には、歯を抜く、削るなどの対処が必要になります。

 

1歳を過ぎても歯が生えてこない原因と対処法

生後6か月を過ぎ、1歳を超えても歯が生えてこなければ、

  • 乳歯萌出遅延
  • 癒合歯
  • 先天性欠如

などの原因が隠れている可能性が高いです。

乳歯萌出遅延

『乳歯萌出遅延(にゅうしほうしゅつちえん)』とは、1歳を過ぎても全く歯が生えてこない状態です。乳歯萌出遅延の原因は、出産時の状態が大きく関係します。「低体重で生まれた」「予定日よりはるかに早く生まれた」など、誕生時に十分に成長するだけの条件が整わないと、適齢期になっても歯が生え始めないという問題が生じます。

<乳歯萌出遅延への対処法>

乳歯萌出遅延は、出産時に十分な発育環境になかったため、赤ちゃんの発育が遅れているだけの状態です。3歳までには乳歯が生え揃うケースも多いことから、ほとんどのケースでは対処法として経過観察が選ばれます。
しかし、あまりにも歯が生えるのが遅い場合は治療が必要です。骨に穴を開けて歯を出す『開窓(かいそう)』と、その後に歯を出す手助けをする『開窓けん引』を使い、歯の発育を促進します。ただし、これらの方法では手術が必要となるため、歯医者さんとよく話し合う必要があります。

癒合歯

『癒合歯(ゆごうし)』とは、「通常であれば1本ずつ生えてくるはずなのに、2本の歯がくっついて生えてくる」など、歯の生え方に問題が見られる状態のことです。乳歯から永久歯の生え変わりが難しくなるというリスクが生まれますが、発見された段階での治療は必要ありません。生え変わりが始まる5歳から6歳の段階で確認し、歯科医院で治療を進める流れが一般的です。

<癒合歯への対処法>

プラスチック素材『シーラント』で溝を埋める方法がとられます。場合によっては抜歯が必要となることもあります。
また癒合歯は歯同士の溝が深く、歯垢が溜まりやすいため、念入りなブラッシングが不可欠です。ブラッシングの際には溝の部分まで磨けているかを、保護者の方がしっかりと確認してあげましょう。

先天性欠如

『先天性欠如(せんてんせいけつじょ)』とは、歯の本数が足りない状態です。1本だけ足りないケースや複数足りないケースなど、状態には個人差があります。原因はまだ明らかにされていませんが、遺伝や身体の病気、薬の副作用との関連性が疑われています。
先天性欠如は、「永久歯も足りなくなる可能性が高い」「歯並びが悪くなる」「虫歯になりやすい」など、さまざまな問題を引き起こすケースが多いです。食事のしづらさや話しにくさなど、生活面での問題を生むこともあります。

<先天性欠如への対処法>

小学生になるまでは経過観察、その後に対処法を選んでいく流れとなります。歯列矯正やブリッジ、部分入れ歯などで、欠けている部分を補ったり歯並びを整えたりするケースがほとんどです。

 

心配なことがあったらぜひご相談ください

赤ちゃんの歯が生えるペースや状態には個人差がありますので、多少の遅れを心配する必要はありません。しかし、あまりにも遅い場合や生え方に問題が見られる場合には対処が必要不可欠です。
対処法については専門家の判断が求められますので、心配なことがあったら、お気軽に当院にご相談ください。