電話TEL

カテゴリー:

スタッフブログ矯正治療

歯列矯正を始める際、不安を占める要因の一つが「治療中の痛み」です。矯正治療は歯が動くそのメカニズムから、時折痛みを伴うことがあります。

本記事では、矯正治療中に生じる痛みについて、その原因から痛みを和らげる方法まで、詳しく解説いたします。これから矯正治療を検討している方、現在矯正中で痛みに悩んでいる方は、ぜひ参考にしてみてください。

歯が動く矯正の仕組みとは

矯正治療で歯が動く仕組みには、歯とそれを支える歯槽骨をつなぐ「歯根膜」が大きく関係しています。歯根膜とは、歯にかかる力を感知するセンサーの役割や、噛んだ時の力を分散させるクッションの役割を持つ、非常に重要な組織です。

矯正治療では、ワイヤーやマウスピースを用いて、この歯根膜に対し微弱で持続的な矯正力がかかるように調整されています。矯正装置によって力がかかると、伸縮性のある歯根膜は歯が動く方向へと引っ張られていきます。しかし、歯根膜は一定の厚みを保とうとする働きがあるため、その状態から元の厚みに戻ろうとします。ここで起こるのが、「リモデリング」と呼ばれている歯槽骨の吸収と形成です。引っ張られて縮んでいる歯根膜側の骨は溶け、伸びている歯根膜側の骨には新しく骨が形成されることで、歯根膜は再び同じ幅に戻ります。

つまり、歯が動く仕組みは、歯根膜の伸び縮みと、それに伴う歯槽骨の破壊と新形成によるものということになります。

矯正で痛いと感じる時は?

歯が動くときの痛み

矯正治療は個人差があるものの、歯を動かすことにより痛みが生じます。歯が動くときの痛みは鋭いものではなく、歯が浮いたようなじんわりとした鈍い痛みです。

特に、定期検診でワイヤーを調整、または交換したときや、マウスピース矯正で新しくアライナーを交換した直後は、歯に新しく矯正力が加わるため痛みを感じやすくなります。これは、先述したように、歯根膜が伸縮してリモデリングが起きるためです。

多くは数日ほどで痛みが和らぎ、日常生活に支障が起きない程度の痛みではありますが、強い痛みによって眠れなかったり、仕事や学校に影響が出たりする場合には、担当医に相談することをおすすめします。

噛むときの痛み

矯正治療中は、かみ合わせが不安定になることや歯が動く際の痛みにより、食べ物を噛んだときに痛みが生じることが多々あります。このように、噛んだときに痛みを感じる場合には、固いものを食べてしまうと痛みが悪化してしまうため、あまり咀嚼しなくても食べられる、柔らかいものを中心に食事をするように心がけましょう。

痛みがあるからといって食べずにいると、栄養が不足して代謝が低下し、日常生活に支障をきたしてしまいます。そのため、煮込んだ野菜スープやうどん、茶碗蒸しや蒸しパンなど、噛んだときに痛みを感じにくいものを選び、しっかりと栄養を取るようにすることが重要です。

矯正器具が粘膜に当たる痛み

ワイヤー矯正では、歯に装着したブラケットやワイヤーが粘膜に当たることで、痛みを感じることも多くあります。特に、装置をつけた直後は粘膜が慣れておらず、装置の刺激により生じた口内炎の痛みに悩む方も少なくありません。装置に慣れてくると、次第に粘膜も硬くなり、違和感を覚えたり痛みを感じたりしなくなりますが、初めて装置をつけた後は少しの間辛抱が必要になります。

また、ワイヤー矯正では歯が動いたり、ワイヤーが抜けたりすることで、奥歯のワイヤーが飛び出てくることがあります。この場合、飛び出たワイヤーは自分で切ったり元のスロットに戻したりすることが困難であるため、歯科医院での応急処置が必要です。

痛む時の対処法

痛み止めを飲む

歯が動くときに痛むのは、歯根膜が伸縮して骨の吸収と形成が起きることで、組織が炎症状態となるためです。そのため、抗炎症作用のある痛み止めを服用することで、痛みをある程度抑えられます。

ただ、痛み止めの種類によっては、歯の動きを阻害する作用を持つ薬もありますので、痛み止めを飲む前にはまず担当医と相談し、服用回数や用量を守って正しく使用するようにしましょう。

お湯をお口に含む

ワイヤー矯正では、やけどしない程度のお湯を口に含むことで、歯に矯正力を付与するワイヤーの力が一時的に緩むことがあります。そのため、ワイヤー調整後など強い痛みで辛いときには、一時凌ぎではありますが、お湯をお口に含むことで痛みを緩和できるのです。

ただし、マウスピース矯正の場合、プラスチック製のアライナーが変形する可能性があるため、お湯を使って痛みを改善する処置は控えるようにしてください。

冷やす

お湯とは違い、冷やすことで痛みを一時的に和らげられることもあります。これは、主にワイヤー矯正において、形状記憶合金と呼ばれる金属で作られたワイヤーを使用しているケースです。

一部の形状記憶合金ワイヤーは、温度によって力のかかり方が変わることがあり、冷やすことで金属が柔らかくなるため、氷や冷たい水を口に含むことで痛みを緩和できます。

ただ治療の段階によっても、痛みへの適切な対処法が異なるため、痛くなったらどのようにすれば良いのか、どの方法が適しているのかは、ワイヤーの調整時に担当医へ相談することをおすすめします。

まとめ

矯正治療は、美しく健康的な口元を手に入れるための重要なステップです。その過程で、痛みや不快感が伴うことは、歯を動かす上でどうしても避けられませんが、適切に対処することで、治療中の痛みを和らげることができます。

矯正治療で痛みや不快感が生じた際には我慢せず、担当医のアドバイスを受け治療中の痛みを上手く緩和しながら、治療のゴールを目指しましょう。