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こんにちは!歯科衛生士の甲斐です!
今回は歯科医院で使用されるフッ素について、お話しします。
歯科医院では、主に次の3種類のフッ素が活躍しており、それぞれ効果的に歯のエナメル質を強化し、虫歯予防に役立っています。
⭐️フッ素の種類
1.フッ化ナトリウム (NaF)
– 一般的なフッ素塗布材として広く使われており、歯に直接塗布されます。ジェルやフォーム、液体の形で提供され、虫歯予防に非常に効果的です。
2.フッ化第一スズ (SnF₂)
– 虫歯予防だけでなく、歯茎の健康を維持し、歯の感受性を低減する効果があります。ただし、味が少し不快とされることがあり、歯に軽い着色を引き起こすことがあります。
3.フッ化ジアミン銀 (SDF)
– 比較的新しいフッ素の形態で、特に進行している虫歯の治療や予防に使われます。銀の抗菌作用とフッ素のエナメル質強化作用が組み合わさっており、虫歯の進行を止めるのに効果的です。ただし、塗布部分が黒く着色することがあります。
⭐️フッ素の特徴
歯や骨に良い影響を与えることが知られています。例えば、フッ素は歯磨き粉や水道水に添加され、虫歯予防に使われます。フッ素が歯に含まれるエナメル質を強化し、酸による損傷を防ぎます。
ただし、フッ素を過剰に摂取すると「フッ素症」と呼ばれる健康被害が生じることもあります。特に小児期に過剰摂取すると、歯に白い斑点ができることがあります(歯のフッ素症)。
フッ素は適量を摂取することで健康に良い影響を与えますが、過剰摂取には注意が必要です。
フッ素の正しい使い方を歯医さんでしっかり学びましょう。
⭐️フッ素の効果
1.エナメル質の強化
フッ素は歯の表面にあるエナメル質(歯を保護する硬い層)に吸収され、これを強化します。
これにより、酸に対する抵抗力が高まり、虫歯ができにくくなります。特に子どもの歯や生えたばかりの永久歯(生えてから約2年ほど)は、エナメル質が十分に硬くないため、フッ素による強化が効果的です。
2.初期虫歯の修復(再石灰化)
虫歯が進行する前の初期段階では、歯のエナメル質が酸によって部分的に溶け始めます。フッ素は、この初期の虫歯を修復する「再石灰化」を促進し、虫歯の進行を防ぐことができます。
3.抗菌作用
フッ素には虫歯の原因菌(主にミュータンス菌)の働きを抑える効果もあります。この菌が作り出す酸が歯を溶かして虫歯を引き起こすため、フッ素によって菌の活動を弱め、虫歯を防ぎます。
4.長期間の予防効果
歯科医院で使用されるフッ素は、家庭で使用する歯磨き粉や洗口液よりも濃度が高いため、長時間/長期間にわたって歯の表面に留まり、持続的な虫歯予防効果があります。定期的なフッ素塗布を受けることで、虫歯リスクがさらに低減します。
5.歯の知覚過敏の軽減
特定のフッ素製品(例:フッ化第一スズ)は、歯の知覚過敏の症状を軽減する効果もあります。フッ素が歯の表面に細かなバリアを作り、冷たいものや甘いものが歯に直接触れるのを防ぎます。
⭐️フッ素の塗布方法
フッ素の塗布方法は、主に以下の3つの方法があります。それぞれの方法には特定の目的や患者のニーズに応じた特徴があります。
1.トレー法
フッ素を含んだジェルやフォームを専用のトレー(マウスピースのような形状のもの)に入れて、それを歯全体に密着させる方法です。患者はトレーを口に入れ、数分間そのまま保持します。
→特徴
歯全体に均等にフッ素を塗布することができ、効果が高いです。
フッ素の濃度が高いジェルやフォームが使われることが多く、短時間で高い効果を得られます。
使用場面は、子供や大人の虫歯予防に広く使われます。
2.ペーストやジェルの直接塗布法
フッ素を含んだペーストやジェルを歯科医が歯の表面に直接塗る方法です。ブラシや綿棒を使って、フッ素を丁寧に塗布します。
→特徴
操作が簡単で、特定の部位に集中的に塗布できます。特に虫歯のリスクが高い部分にピンポイントで塗ることができます。
使用場面は、乳歯や永久歯が生えたばかりの子供に行われることが多く、虫歯ができやすい部分に塗布します。
3.フッ素洗口法
フッ素を溶かした液体で口をすすぐ方法です。歯科医院だけでなく、学校や家庭でも使用されることがあります。
→特徴
簡単行える方法で、特に定期的な虫歯予防に適しています。濃度は比較的低めですが、継続的に使用することで効果を発揮します。
使用場面は、小学校などで集団予防として行われることがあり、定期的に使用することで虫歯予防効果を高めます。
4.フッ素バーニッシュ法(高濃度フッ素塗布)
高濃度のフッ素を含むペースト(ペースト状の塗料)を歯科医が歯の表面に塗布する方法です。ペースト粘性があり、塗布後に乾燥して歯にしっかりと付着します。
→特徴
長時間にわたってフッ素が歯の表面に留まり、強力な虫歯予防効果があります。
一度の塗布で効果が長く持続するため、定期的な塗布が推奨されます。
使用場面は、小さな子供や虫歯リスクの高い人に多く使用され、簡単に塗布できるため広く使われています。
⭐️まとめ
フッ素は、患者の年齢や虫歯リスクに応じて使用方法や目的に種類があります。
特に子供の歯の成長段階や、虫歯リスクの高い部分に対してフッ素を塗布することがとても効果的で重要です。
使用方法や適切な量を守って、有効に使っていきましょう。また、使用方法がわからない場合などは、お口の中を一度歯科医院で見てもらい相談すると良いでしょう。