カテゴリー:
こんにちは!
歯科衛生士の松浦です。
今回は食いしばりについてお話しさせて頂きたいと思います。
食いしばりとは?
食いしばり(噛みしめ癖)とは、就寝中や物ごとに集中している際に無意識に歯を食いしばる癖のことです。歯ぎしりと違って、食いしばるときに音が鳴らないので、他人から気付かれにくく、自分自身でも知らないうちに歯を食いしばっているので自覚することが少ないです。
歯を噛み締めたり、寝ている間に食いしばる力は、想像以上に強いものです。その力は、自分の体重の5倍〜10倍くらいと言われています。
(体重60kgの方であればその5倍の300kg、10倍ですとなんと600kg!)
食いしばりの原因
明確な原因ははっきりとしていません。精神的ストレス、歯並び、噛みしめぐせ、飲酒、喫煙、遺伝などによるのではないかと考えられています。
セルフチェック項目
食いしばりをされている方の多くは無自覚です。歯医者で歯ぎしりを指摘されて、初めて自覚したという方も多いと思います。ご自身でもチェック可能な項目もありますのでご紹介させて頂きます。
1.歯のすり減り、亀裂線
歯の先が平らになって形が変わっていませんか?
噛み合わせが強いことで歯の表面のエナメル質が摩耗することによって起こります。
また強い咬合力によって歯に亀裂(透明な縦線)が入ってしまうこともあります。
2.骨の隆起
お口の内側にボコボコとしたコブのような固い膨らみはありませんか?
これは骨隆起です。強い咬合力が加わることによって骨が過剰に発達してしまいます。
3.歯の根本の欠けや歯肉退縮による知覚過敏
歯の根元が欠けていませんか?
くさび状欠損と呼ばれます。歯に強い力が加わり、根元に負荷がかかりエナメル質が欠けてしまうことによって起こります。また強い力が加わることで歯肉が下がってしまいます。これらによって知覚過敏の症状が出ることがあります。
4.起床時の顎の違和感、慢性的な肩こり、頭痛
朝起きたとき顎の関節や筋肉、こめかみに違和感があることはありませんか?
夜間に強い力で噛み締めることによって顎関節や咬筋、側頭筋に負担がかかります。筋肉への負荷は肩こりや頭痛の原因にもなります。また顎関節症を併発する場合があります。
5.頬粘膜に噛んだ痕がある
頬の内側の粘膜に白っぽい咬んだ痕はありませんか?
この頬粘膜の圧痕も特有の所見となります。
意識してみると日常的に食いしばってる方は意外と多いです。
歯と歯は1日のうち20分程しか接触しないと言われています。
普段歯と歯が接触している方は、気がついたと時に歯と歯を離すことを意識することがご自身で出来る簡単な対症になりますので、是非試されてみてください!
歯医者での治療方法は?
治療は対症療法が一般的です。症状がこれ以上進行しないようにすることが目的です。
スプリント療法(保険適応)
寝ている間にナイトガードと呼ばれるマウスピースを装着します。ナイトガードを緩衝材にすることによって、歯の擦り減りを防ぎます。
型取りするだけで作成でき、装着するだけで即効性があります。
▼注意事項
慣れるまでは多少の違和感があります。
お手入れが必要です。
使用状況や咬合力の強さによって耐用年数が異なります。
エラボトックス注射療法(保険適応外)
ボトックス注射とはA型ボツリヌス毒素(天然タンパク質)による筋弛緩作用を利用して、発達した筋肉を緩める治療です。肥大化した咬筋(エラ)にボトックス注射をすることで慢性的な食いしばりを改善することがきます。
個人差はありますが、針によるお痛みはわずかです。繰り返しの施術が可能で、噛みしめによってエラが発達されている方は副次的に小顔効果も得られます。
また、施術後すぐにお化粧可能です。
▼注意事項
保険適応外になります。
効果は3〜6ヶ月程度で個人差があり、永続的ではありません。
ボトックスは熱に弱いため施術直後は激しい運動、サウナ、長風呂、飲酒など汗をかくような行為は控えられてください。
ボトックスが拡散してしまう可能があるため、施術後しばらくはお顔のマッサージを控えられてください。
妊娠中、授乳中、妊活中の方は施術出来ません。
過剰な力は歯を壊す原因にもなります。
チェック項目に該当した方や、ご不安のある方は是非一度歯科医院にご相談ください